そのため、網目状に細い神経の断面に炎症が残り、治療消炎するまで痛みを感じます。
【対処法】
一般的には消炎、鎮静の薬品を使用し、神経感覚を弱らせて自然に痛みがなくなるのを待ちます。
3-2.歯の根の周りに起こる一時的な炎症
歯の中だけに神経があるわけではなく、根の周りには歯根膜や骨などがあります。
治療前に症状がなくても、神経を取ることで根の周りの組織に治療刺激による一時的な炎症が起こることにより、痛みを感じることがあります。
【対処法】
何度か根管治療を繰り返し行うことで消炎でき改善していきます。
3-3.細菌や神経が残っている
根管の形には個人差もあり、網目状、枝状に細かく分かれて湾曲した形などもあり、器具、薬品を使ってもすべての神経を取り除き、隅まできれいにすることは構造上、不可能です。
残っている神経、血管、細菌が自己免疫機能と戦い炎症が起こるため痛みを感じます。
【対処法】
何度か根管治療を繰り返し行うことで、消炎でき改善していきます。
3-4.咬み合わせ
神経を取ったばかりの歯は治療過程で炎症が起こるため、安静にすべきですが、歯は食事のたびに接触刺激があります。
そのため、咬み合わせが強いままになっていると、咬むたびに刺激が加わり、なかなか痛みがとれないことがあります。
【対処法】
過度に咬み合わせが強くならないように咬み合わせの調整をすることで徐々に痛みは改善します。
3-5.他の部位の不具合
神経を取った歯の周囲の炎症、隣りの歯咬み合う相手の対合歯などに虫歯などあった時には処置前に症状がなくても、神経を取った歯の炎症の波及により痛むことがあります。
【対処法】
他の部位の不都合による痛みの場合にはそちらも処置をしてもらうと良いでしょう。
4.治療が終わり何年も経って痛くなる原因と対処法(治療法)
神経の治療を終えた歯が、数ヶ月、数年も経ってから痛むことがあります。
4-1.感染が起きている
以前、神経を取った後の根管に神経の取り残しがあったり、薬の詰め方が不充分であったりすると、内部で少しずつ細菌が繁殖して膿をもった空洞ができます。
何年もかけ、症状もなく慢性的に痛みが出たときには膿が大きくなっていることが多いです。
【対処法】
この場合は再度根管治療をするか、膿が大きく嚢胞化している場合には抜歯をしないとならない事もあります。
4-2.歯の根が割れている
以前、神経を取った歯は神経の残っている歯に比べると非常にもろく弱いため、慢性的に強い咬合圧がかかったり、食いしばり、歯ぎしりにより根にヒビが入ったり、割れてしまうことがあります。
【対処法】
この場合、抜歯が必要になることもあります。
また、奥歯の大臼歯部では分割抜歯といって折れてしまった根だけを選択抜歯することもあります。
4-3.歯肉の炎症
以前、神経を取った歯に入れている冠が古くなり、歯肉との間にギャップができ、それによる歯肉の炎症が起こり、痛みを感じることがあります。
【対処法】
この場合は歯肉の消炎をはかり、ギャップがない新しい冠を入れる処置を行う必要があります。
4-4.咬み合わせ
以前、神経を取った歯の冠がセラミックなど天然歯に比べ、すりへり方が違う場合、何年も経過した後にすりへらないセラミックの冠に咬み合わせが過負担になることによりい痛みを感じることがあります。
【対処法】
この場合には咬み合わせの調整をしてもらい、消炎するとともに天然歯がすりへらないよう夜間マウスピースを入れることもおすすめします。
5.注意点
5-1.根管治療の難しさ
以前神経を取り、根の治療が済んでいる歯が感染した際、再治療して完全に治すのはかなり困難です。
神経を取った歯は歯質がもろくなっています。
そのため、再度、根の治療をする際には入っているコアを除去する必要があり、もろくなった根の壁へのダメージを与えずにコアを除去することは困難なのです。
また、その後、退化し狭くなっている根管を見付け出し、根の治療を完全に行うことは非常に困難なことです。
5-2.神経を抜いた歯と神経のある歯では感覚が異なる
歯は神経を取ってしまうと栄養の供給がなくなり、枯れ木のようになってしまいます。
そのため、身体が疲れて抵抗力が落ちたとき、ストレスを感じて食いしばりをしたときなどには神経のある歯とは感覚が異なり、痛みを感じたり、異和感を感じたりすることがあります。
一時的なものなら心配いりませんが、長く続いたり、痛みが悪化するようならば歯科医院い相談して下さい。
6.まとめ
神経を抜いた歯は健全な歯とは異なり、少なからず痛み、異和感を感じることがあります。
ひどい痛み、長く続くような痛みであれば、早めに歯科医院に相談して下さい。
Author: 小野澤 彰(歯科医師/歯科オノザワ院長)
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