詰め物や被せ物でセラミックにしたらいくらかかるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。セラミック治療にはいくつかの種類があり、治療する範囲や保険適応となるか自費(保険が適応しないもの)によっても相場には開きがあります。また、自費治療となると料金は歯科医院によって異なりますが、ここでは治療範囲別に各種セラミックの相場を紹介しますので参考にしてみてください。
1. かぶせ物や差し歯(クラウン)の場合
虫歯の大きさによって詰めるものも変わってきます。大きな虫歯になると、人口の歯を被せるクラウンというものを入れます。また、歯の根っこに差し込むようにして人工の歯を入れる治療法、いわゆる差し歯と言われるものもあります。差し歯は、歯の軸となるものと人口の歯が一体となったもので、取れてしまう事が多かったり、歯に対する負担も大きく根っこが割れてしまったりする事があるので、最近はあまり主流ではありません。
クラウンの種類
メタル | ハイブリット | メタルボンド | オールセラミック | ジルコニア | |
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保険適応 | ○ | ○(小臼歯のみ適応) その他/☓ | ☓ | ☓ | ☓ |
審美性 | ☓ | ○ | △ | △ | ◎ |
耐久性 | ○ | ○ | △ | △ | ◎ |
金属アレルギー | △ | ○ | △ | ○ | ○ |
料金 | 3000〜5000円 (3割負担) | 保険適応9000円(3割負担) 保険外4万〜12万 | 約8〜15万円 | 約8〜15万円 | 約10〜20万円 |
※金属アレルギーには個人差があります。
1-1. ハイブリッド CAD/CAM冠 | 料金:約9000円 (3割負担の場合)
ハイブリッドCAD/CAM冠とは、従来のハイブリットセラミックレジンに比べ、高度に重合されたハイブリットセラミックレジン(プラスチック)のブロックをCAD/CAMというコンピューター制御により歯の修復物を設計・製作するシステムで削り出して作るクラウンです。2014年4月より、第1小臼歯(前から4番目の歯)、第2小臼歯(前から5番目の歯)のみ保険適用となりました。
ただし、CAD/CAMNの機械を置いている歯科医院でないとできません。そして高額な為、置いている歯科医院はあまり多くはありません。気になる場合は直接歯科医院に問い合わせてみましょう。
ハイブリッド CAD/CAM冠のメリット
- 金属を使用しないので、金属アレルギーや、歯茎の黒ずみの心配がない
- 硬すぎないので、かみ合う歯を傷めにくい
- 安価で白い材料が入れられる
ハイブリッド CAD/CAM冠のデメリット
- 取り扱っている歯科医院が少ない
- 取り扱いに慣れていない医院が多い
- 単色のみなので、色調はあまり良くない
- オールセラミック(陶器)ではく、レジン(プラスチック)なので、長期間の使用で徐々に変色や黒ずみを起こす
- すり減りやすく割れやすいので、かみ合わせによっては使えない
- 認可を受けた特定の材料しか使えない
1-2. ハイブリッド セラミッククラウン | 料金:4~12万円
ハイブリッドセラミックとは、レジン(プラスチック)にセラミックを混ぜ合わせた材料です。セラミックを含んでいるので保険適応のレジンよりも変色しにくく、耐久性も高くなっています。ハイブリッドセラミッククラウンは金属を使うタイプのものと、金属を使用しないタイプの2種類があります。
強度はオールセラミックよりはやや劣りますが、内面に金属フレームを使用することで、強度を増しクラウンやブリッジにも用いることが出来ます。ただし、内面に金属を使用すると金属アレルギーや、歯の根元に金属が透けて、歯肉が黒くなる事があります。
ハイブリットセラミックのメリット
- 色調が天然の歯に似ているので見た目が良い
- 保険のレジンよりも強度に優れる
- 硬すぎないので、かみ合う歯を傷める事が少ない
- オールセラミックより料金が比較的安い。
- 金属を使用しない場合、金属アレルギー、歯茎の変色の心配がない
ハイブリットセラミックのデメリット
- オールセラミッククラウンより色調に劣る
- オールセラミック(陶器)ではく、レジン(プラスチック)なので、長期間の使用で徐々に変色や黒ずみを起こす
- ある程度の強度はあるが、かみ合わせによっては使えない場合がある
- 保険外の治療なので、保険適応レジンより値段が高い
- 金属を使用する場合、金属は光を通さないので、歯本来の白い透明感を表現しにくい
- 金属を使用する場合、金属アレルギー、歯茎の変色を起こす事がある
1-3. メタルボンド セラミッククラウン | 料金:8~15万円
メタボンドセラミックとは、内面の金属フレームにセラミックを焼き付けたものです。内側は金属の黒っぽい色をしていますが、表面はセラミックなので変色はありません。
ただし、内面の金属の種類によっては金属アレルギーや、歯茎の黒ずみの原因になる事もあります。銀やニッケルクロムなどの卑金属の含有量が高い場合に、引き起こす可能性が上がります。
メタルボンドのメリット
- 外面はセラミックなので、ハイブリットセラミックより見た目がよい。
- 内面が金属なので強度が強く、ほとんどの部位に使用できる
メタルボンドのデメリット
- 色調はオールセラミッククラウンより劣る
- 将来的に歯茎が下がって、歯と歯茎の境目が見えてくる場合がある
- 天然の歯より硬いため、かみ合う歯を傷めることがある
- 金属は光を通さないので透明性がやや劣る
- 内面の金属の種類によっては、金属が溶け出すことによる歯茎の変色、金属アレルギーなどを引き起こす可能性もある
- 外面のセラミックが割れたり、欠ける事がある。
1-4. オール セラミッククラウン | 料金:8~15万円
オールセラミックとは、金属を全く使用せずセラミックのみで作られたクラウンです。内側に「アルミナ」というセラミック素材が、用いられています。金属アレルギーの心配もなく、天然の歯の色調に似ていて見た目も綺麗です。
オールセラミックのメリット
- 見た目が綺麗
- 金属アレルギーの心配がない
- 歯茎が黒ずむ心配がない
- プラークが付きにくい
オールセラミックのデメリット
- 金額が高い
- 衝撃に弱く割れやすい
- 歯科医の技術による見た目や持ちの差が出やすい
- 比較的歯を削る量が多くなる
1-5. ジルコニアフレーム オールセラミッククラウン | 料金:約10~20万円
ジルコニアとは、酸化ジルコニウムを安定化させたセラミックで、従来のセラミックの3倍以上、ダイヤモンドに近い強度を誇ります。 強度だけでなく、曲げ強度も非常に高いため、欠けにくさ、割れにくさを兼ね備えることが可能になりました。
ジルコニアフレームオールセラミッククラウンの構造は、内側がジルコニアで外側がオールセラミックで覆われています。オールセラミックは金属を使用しない為やや強度が劣っていましたが、ジルコニアは金属のしなやかさと強度の両方を改善したクラウンとして注目されています。金属とセラミックの欠点をカバーしたものがジルコニアとも言えるでしょう。そして、透明感もオールセラミックより優れており、見た目も天然の歯に近いです。さらに、金属の3/1の軽さであるため、自然な噛み心地でもあります。
また、CAD/CAMにより作製するジルコニアオールセラミッククラウンもあり、安定した適合が得られます。
ジルコニアクラウンのメリット
- 透明感に優れている
- プラークが付きにくい
- 金属を使用しないので、歯や歯茎の変色、金属アレルギーなどが起こる可能性が低い
- オールセラミックより強度が高く、割れたり、欠けたりする可能性が低い
- 重さが軽い為、自然な噛み心地である
- 生態親和性が高い為、体に優しい材料
ジルコニアクラウンのデメリット
- 金額が高い
- 比較的歯を削る量が多くなる
- ジルコニア自体が割れることはまれだが、ジルコニアを覆っているセラミックの部分が割れることがある
2. 土台(コア)の場合
クラウンを被せる時に、歯に対する負担が大きくなるケースでは、土台となる『コア』と呼ばれる物を立てます。コアにはいくつか種類があり、保険適応であると、メタルコアや、レジンコアがあります。自費診療であれば、ファイバーコアやゴールドコアも選択できます。見えない部分ではありますが、コアによっては見た目も仕上がりも変わることや、歯の維持年数に関わってくる事があります。歯科医院によって治療方法は異なる場合があるので、クラウンを被せる場合は是非コアの事も考慮して相談するのが良いでしょう。
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