自分で歯石除去できないだろうかと思う方も多いのではないでしょうか。歯科医院で歯石除去をしている時、歯が削れているんじゃないかと不安に思う、機械の甲高い音がどうしても苦手などの相談を寄せられることがあります。歯科医院では、いくつもの専用の器具で、国家資格を持った歯科衛生士が取り残しのないように痛みを最小限に抑えながら安全に行います。
そこで今回は、歯石除去は自分でもできるのか、歯科医院で使われている器具や手順について詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
1.自分で歯石除去しても大丈夫?
『自宅で簡単にできる』とうたっている歯石取りの器具も販売されているようですが、ご自身でケアをすることはおすすめできません。
しっかりと見えるところであれば、器具の操作は簡単に思えますが、歯石取りのプロである歯科衛生士や歯科医師は、歯石取りについての知識や技術を学び、国家資格を取得しています。
自分で歯石除去する場合、歯石がしっかりと取りきれないだけでなく、間違ったケアで健康な歯や歯ぐきを傷つけてしまうことが多くあります。そのため、歯科医院にてプロによる歯石取りをおすすめします。
ご自宅でできるおすすめは、しっかり正しく歯みがきをすることです。しっかり正しく歯みがきをすることによって、歯石が着くのも予防できます。
市販されている歯石除去の器具
最近では、歯みがきなどの口腔ケア(オーラルケア)が注目されることが多くなり、市場にも、市販のオーラルケア用品とともに、歯科専売のオーラルケア用品を目にすることが多くなりました。インターネットでも、これらを簡単に手に入れることができます。
2.歯科医院で行う歯石除去
2-1.歯石除去で使われる器具(機械)
2-1-1.超音波スケーラー
【特徴】
超音波(25,000~40,000Hz)の振動と注水で歯石を叩いて壊し、除去する器具です。
おもに、歯面に大量の歯石がついている場合に使用され手用の器具より効率がよく、時間の短縮になります。また、注水下での使用なので、歯垢を洗い流す効果もあります。
2-1-2.エアースケーラー
【特徴】
圧搾空気を利用したエアタービンに装着して使用します。
振動は、超音波スケーラーより低振動(2,000~6,600Hz)で、おだやかな振動のため、機械的な刺激からくる痛みが少なく、歯面への損傷も少なくなります。ただし、超音波スケーラーより除去時間がやや長くかかります。
超音波スケーラーや、エアスケーラーは、手用よりも短い時間で痛みも少ないため、とても万能なように思われるかもしれませんが、手用スケーラーでの仕上げが必要です。
2-1-3.注意点
注水下での使用となるため、鼻呼吸ができない場合には使用できません。
また、糖尿病の方や、心臓にペースメーカーを入れている方など、重篤な疾患がある場合には、使用できないこともあります。
音や振動に不快感を示す方もいますので、歯科医院で使用される場合には、事前に歯科医師、歯科衛生士に確認してもらうようにしましょう。
2-2.歯石除去で使われる器具(手用)
歯石を取る手用の器具には、以下の種類があり、いずれも歯石を実際に取る刃部、術者が握る掌握部、刃部と掌握部を連結している頸部があります。
2-2-1.キュレットスケーラー
鎌形キュレットより刃部が薄く、狭く深いところへ届きやすく歯面を傷つけることが少ないので、細かい歯石除去や歯の根の側面を滑らかにするときに使います。
【特徴】
キュレットは、刃先がスプーン状で、先端と背面が丸く処理してあります。
この形態であるために、狭い歯と歯ぐきの隙間にも器具を挿入しやすく、かつ歯ぐきも傷つけにくいです。両刃のユニバーサルタイプと片刃のグレーシータイプがありますが、現在では刃が片刃なので、必要以上に歯ぐきを押し広げず傷つけにくく、深いところにまで届きやすいグレーシータイプがおもに使用されています。
2-2-2.鎌型キュレット
歯石取りで最も基本的な器具です。
【特徴】
おもに歯ぐきの上に見えている歯石と歯ぐきの中の浅い部分の歯石取りに使用します。
刃部の外形は鎌型で、先端に向かうにしたがって細くとがっており、両側に刃がついています。
2-3.グレーシーキュレット
7本のセットの中から必要最低限のセットを選択して使用します。また、歯ぐきの中の形に合わせて、刃部の大きさ、頸部の長さなどが選択できます。
【特徴】
グレーシーキュレットは、通常、両頭7本を1セットとし、各キュレットごとに頸部の角度を変え、特定の部分に適合するよう作られています。
仕上げ用のものと歯の根の側面に強固に付着した大量の歯石をとるものがあります。
2-3.その他歯石除去で使われる器具
2-3-1.プローブ
プロービングとは、”針で探る操作“という意味で、肉眼で見えない歯ぐきでおおわれている、歯ぐきの中の診査、歯周病の進行具合を診査するのに使用します。
【特徴】
このプローブで、歯ぐきの中を探ることにより、以下のようなことがあります。
①歯周ポケットの深さ
②出血している(炎症)部位
③歯ぐきの形態
④歯ぐきがどのくらい下がっている(退縮している)か
⑤触知することで、歯の根の側面の性状、歯の根の形態
プローブの先端(測定部)は、平板状、棒状、半円状、球状などで、いろいろな間隔で目盛がついています。
2-3-2.探針
むし歯の診査用と歯周診査用があり、エキスプローラーともいわれ、“探り針”です。
【特徴】
ここでは、歯周診査用の探針についてお話します。探針は、歯石取りの術前、術中に、歯石がどこにどんなふうについているか、また術後に歯石がとれたかどうかを確認するために使用します。
作業部の形態は、鈎(かぎ)型になっているもの、作業部全体がやや湾曲しているものなどがありますが、湾曲しているものを使用することが多いです。
2-3-3.フロス
歯石取り後の、歯と歯の間の清掃や研磨時に使用します。
2-3-4.研磨ブラシ・カップ
歯石取り後の仕上げとして、歯面研磨をします。痛みが伴うことのある歯石取りですが、この歯面研磨により、お口の中の爽快感を得られたり、見た目がきれいになります。
【特徴】
研磨ブラシ・カップは、コントラアングルハンドピースというエンジンに装着し、1分間に4,000~5,000回転くらいの低速、低 圧で使用します。
歯科医院によって使用材料などは違いますが、歯石取り後に残った細かい歯石や歯垢、着色などを取り除き、歯石取りの器具で傷つき粗造になった歯面を滑らかにして、歯石などの再沈着を予防するために行います。最後にフッ化物添加のものを使用することもあります。
3.歯科医院で行う歯石除去の手順と流れ
3-1.検査
歯石取りをするためには、全身の状態などを問診によって確認することが必要です。
その結果によって、超音波スケーラーやエアスケーラーなどの水が出る機械を使えないこともあります。
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