【step3】切開、剥離
歯茎の内側にある根の先にアプローチするために、歯茎にメスを入れ、剥離します。
図:歯茎にメスを入れ、剥離した内部。炎症で骨が溶け、根の表面に汚れが付いているのがわかります
【step4】根の先の切断
根の先の状態を把握したあと、汚れのついている部分を切断します。
【step5】薬を詰める
切断したあとの根を確認したあと、根の裏側から薬を詰めます。
図:根の裏側から薬(MTAセメント)を入れる
【step6】縫合
メスを入れた歯茎を縫い合わせます。
【step7】抜糸
3日から1週間後、縫い合わせた糸を取り除きます。
術後
図:左では黒く抜けている部分が、右では白く埋まっているのがわかります。
汚れを取り除くことができ、炎症が治まり、骨が再生しています。
3-2.治療の回数
治療回数は2回です。歯根端切除術はその日のうちに終わり、後日、糸を取ります。
3-3.どこで治療してもらうべきか
正しい技術と知識を持っている歯科医師がいて、きちんとした設備が整っている病院で治療することをおすすめします。
この条件が揃っている、一般の歯科医院、根管治療専門医の診療所、口腔外科のある大きな病院などありますので確認してから受診しましょう。
3-4.歯根嚢胞の手術費用
健康保険診療内で受けることが可能です。
しかし、精度の高い治療や、MTAセメントなどの最新の材料を使用する治療は、保険診療外になります。
あくまで目安ですが、自由診療の場合は10万円〜20万円です。
3-5.歯根嚢胞の手術のリスク
3-5-1.痛み
術後に痛みを感じる場合があります。
3-5-2.歯茎の位置が下がる
歯茎にメスを入れるため、歯茎が下がることがあります。上の前歯の場合は、見た目が悪くなることがあります。
3-5-3.抜歯になる可能性もある
歯根端切除術が必要な歯は、すでに根の汚れの状態も悪化しているため、予後が思わしくない場合は抜歯しなければならないケースもあります。
4.歯根嚢胞は治療前には判断できない
治療の前に、根の先の病気が歯根嚢胞である、と判断することは不可能です。
”この歯は歯根嚢胞です”と、歯医者さんに言われたら、それは
- 根の先の病気をわかりやすく説明するために、”歯根嚢胞”という言葉をあえて使っている
- 歯根嚢胞の疑いがあるという判断で”歯根嚢胞”と診断している
この二つのどちらかでしょう。
まとめ
根管治療をするにあたり、その歯が”歯根嚢胞”であるかどうかは患者さんにとってはあまり重要ではありません。
大事なことは、根管治療前の症状の有無、正しい治療をうけること、そして治療後の症状の変化です。
改善したならば成功、改善しなければ歯根端切除術が必要であるということです。
今回の内容が、読んで頂いた方々のお役に立てれば幸いです。
Author:柳沢 哲秀 (歯科医師/東京都調布市 柳沢歯科医院)
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