子供の歯並びを悪くしてしまわないか心配な方も多いのではないでしょうか。また、大人になっても徐々に歯並びが悪くなることがあるのをご存知ですか?
日本人の歯並びの悪さは先進国で最低レベルと言われ、他国に比べて日本人は歯や口に対する知識不足と言えるでしょう。
歯並びの悪さは見た目の問題だけでなく、歯の寿命や身体の健康に悪影響を与えます。
歯並び、噛み合わせが悪いと虫歯や歯周病や顎関節症になりやすいだけでなく、発音や姿勢が悪くなる、集中力が低下する、胃腸炎、口呼吸、不眠、肩こりになりやすいなど、様々な影響が出てきます。
実は日本人の79.9%は噛み合わせに異常があり、日本にいる外国人の76%は日本人の歯並びが悪いという印象を持っているという調査結果もあり、無視できない問題となっています。
今回は歯並びや噛み合わせが悪くなる原因について紹介いたしますので、ぜひ参考にしてください。
1.先天的要因(遺伝)
1-1. 歯の数の異常がある
本来上下の歯の数はそれぞれ14本ずつで同じでなければなりませんが、生まれつき永久歯の数が多かったり少なかったりすることがあります。余計な歯を過剰歯、足りない歯を先天性欠如歯と呼びます。
例えば、下顎の歯が先天性欠如で少ない場合、下顎の歯並びの長さが小さくなって上顎と下顎の歯並びのバランスが悪くなってしまう結果、出っ歯になってしまいます。また先天性欠如の部分は最初隙間が空いているので、両隣りの歯は隙間がある方に倒れて、隙間がある部分に咬み合っている反対側の歯はどんどん伸びてきて噛み合わせが悪くなってしまいます。
過剰歯はほとんどの場合、形の異常があり、きちんとした歯の形をしておらず、埋伏歯(歯茎の中に埋まったまま萌えて来ない歯)であることが多いです。
よくある例が、上顎の前歯の間に隙間が空いているすきっ歯。実は原因が過剰歯の埋伏歯のことが多いんです。歯茎の中で、2本の歯の根の間に小さい歯が挟まっていて、歯と歯の間の隙間が開いてしまうというものです。
先天性欠如歯に関しては【正常な歯の本数は28本!足りない場合は先天性欠如かも】もご覧ください。
1-2. 歯の形の異常がある
生まれつき歯の形に異常がある場合、上顎と下顎の歯並びのバランスが崩れるため、歯並びや噛み合わせが悪くなってしまう原因になることがあります。
時々ある分かりやすい形の異常は、癒合歯(ゆごうし)と呼ばれる2本の歯がくっついて1本の歯になっているという歯です。
癒合歯は乳歯でも永久歯でも下顎の前歯に最も多く、続いて上顎の前歯に多く発生します。乳歯が癒合歯の場合、その後から萌えて来る永久歯が癒合歯や先天性欠如歯となる可能性は高いということも知られています。
また日本人は西洋人よりも6~10倍も頻度が高いという報告もあり、これも日本人は西洋人よりも歯並びが悪くなる確率が高いということに関連しているのは間違いないでしょう。
1-3. 小帯付着異常がある
唇と歯茎の間にある筋と舌の裏側に筋を小帯と呼びます。上唇の裏の小帯の形に幅がある、小帯が歯の近くに付いている、といった異常があると、その影響で歯が押されて上顎の前歯の間に隙間ができることがあります。
舌の裏側の小帯が短い、舌の裏の小帯が舌の運動を邪魔する様な位置に付いている、といった異常があると、食べ物を飲み込む時に舌を正しい位置に移動させることができず、下顎の前歯の間に隙間ができる、咬んでいる状態でも上下の前歯の隙間ができて食べ物を咬み切れなくなる、発音が悪くなるという原因になることがあります。
1-4. 歯が極端に内側や外側にずれて、歯並びから押し出されたように外れて萌える
上顎の歯並びが良くても、下顎にだけ八重歯があるといった様に歯並びが悪いことによって、下顎の歯並びの長さが小さくなってしまうことで、出っ歯になってしまうことがあります。
永久歯は3歳頃から乳歯の下に歯胚(しはい)という歯の卵の様な状態で、頭の部分からできてきて、後から根の部分ができてきます。1つの原因として、顎の骨が小さいと歯胚の位置が骨の中で正しい位置に並ぶことができないため、ずれてしまうことがあり、ずれた位置で歯茎から萌えて来ると歯並びが悪くなってしまうことになります。
1-5. 萌えることができず歯茎の中に埋まったままの歯がある
歯が自力で萌えることができずに、歯茎の中に埋まったままになっている歯を埋伏歯(まいふくし)と呼びます。歯胚の向きが悪かったり、顎の骨が小さく歯が萌えるスペースが不足すると、埋伏歯になることがあります。埋伏歯の場合も萌えている歯の数を見た時に生まれつき歯が少ない場合と同じで、両隣りの歯が倒れてきたり、咬み合う反対側の歯が伸びてきたりして噛み合わせが悪くなる原因になります。
埋伏歯のもう一つの問題は、隣の歯の根を傷つけてしまう可能性があるということです。埋伏歯に気が付かず長期間放置した結果、隣りの歯を大きく傷つけた場合、埋伏歯と隣りの根を傷つけられた歯と両方とも抜かなければならなくなります。
1-6. 上下の顎の骨の大きさのバランスが悪い
成長の過程において、上顎の骨と下顎の骨の大きさや位置の前後的なバランスが悪いと、出っ歯や受け口の原因になります。また上顎の骨と下顎の骨の大きさや位置の左右的なバランスが悪いと、正面から見た時に顎が曲がって見える状態になり、噛み合わせも横にずれて悪くなる原因になります。
1-7. 咽頭扁桃(いんとうへんとう)肥大によるアデノイド顔貌(がんぼう)
「アデノイド顔貌」とは、鼻腔(びくう)の奥にあるアデノイドという咽頭扁桃が肥大している人に起こりやすい、独特の顔つきのことをいいます。これを放っておくと、面長でしまりがない顔つきになり、歯並びにも影響してきます。そして次第に顔が歪み全身にも悪影響がでます。
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