④.たまった膿を排出しようと生体防御反応により、膿の出口の通路、そしてフィステルができる
2.フィステルができる原因
2-1.虫歯治療をした際、神経がダメージを受け神経が死んでしまった
歯科医は、歯の寿命のためになるべく神経を残そうと治療を試みますが、深い虫歯など歯自体の再生力や治癒力が小さいと、そのまま神経が死んでしまうことがあります。
すると数か月後、数年後に根の先に膿がたまり、フィステルが出来ることがあります。
2-2.外傷で神経が切断された
前歯など、スポーツ中などぶつけてしまったり、転んだりして外的応力がかかると歯の神経が根元で切断され、神経が死んでしまうことがあります。
すると数ヶ月後、数年後に根の先に膿がたまり、フィステルが出来ることがあります。
2-3.以前、根の治療をしたところの再感染
根管治療は大変困難な治療で、以前しっかり治療した歯でも何らかの要因で再感染して根の先に膿がたまり、フィステルが出来ることがあります。
2-4.歯の根にひびが入っている
神経のない歯は、歯の細部まで栄養が届かなくなるため、もろくなって根にヒビが入ったり割れたりするリスクが高まります。
根のヒビから細菌が入るとフィステルが出きることがあります。
特に金属の土台が入っていたり、根の壁が薄いとヒビが入りやすいくなります。
また歯ぎしりや食いしばりもリスクを高め、神経の残っている健全歯でもヒビが入るケースもあります。
2-5.歯周病が原因となる
歯周病でできる膿は、歯周ポケットから排出されることが多くフィステルはできにくいのですが、重度の歯周病などで歯周ポケットが深かったりすると、ポケットの入口がふさがってしまうとフィステルが出きることがあります。
この場合は出血や痛みを伴うことがあります。
3.フィステルの治療
フィステルは放置していても完全になくなることはほとんどなく、原因を取り除くことにより、なくすことができます。
3-1.根管治療を行う
壊死をしてしまった感染をしてしまった根管(神経の管)を洗浄、消毒して無菌化をはかり、何度かの薬の入れかえをすることによりフィステルを消失させていきます。
3-2.歯根端背切除術
通常の根管治療で治らない大きな病巣、以前に金属の土台が装着されており、根管治療が不可能な場合などに用いられる方法。
歯茎を切開して窓開けし、フィステルの原因となっている感染部を根の先の一部とともに外科的に取り出す手術です。
3-3.部分抜歯
奥歯など根が複数ある場合に原因となっている根だけを選択して抜歯し、他の根を保存する方法です。
ヘミセクション、トライセクションと呼ばれます。
3-4.抜歯
他の治療を行っても治らない場合、根のヒビ破折がひどく、保存不能な場合には原因歯を抜歯して感染部分をキレイにする必要があります。
4.フィステルを放置して起こる症状
フィステルは痛みなどあまりなく、そのままにしがちですが、決して放置してはいけません。
4-1.口臭の原因となる
フィステルは根の先に溜まった膿を排出する出口ですので、放置すると細菌が増え続け、膿の臭いが持続することによって口臭の原因となることもあります。
4-2.歯がグラグラしてくる
膿が溜まっている病巣が大きくなり歯を支えている骨が吸収してしまい、歯自体がグラグラして咬みにくくなったり、歯が浮いてしまうなどの症状がでてきます。
4-3.全身の病気の発症につながることも
膿の中の細菌が血液によって体内に運ばれ、心臓の病気、アレルギーなどさまざまな疾患の原因になることもあります。
まとめ
フィステルはあまり痛みなどの症状がないため歯ぐきの違和感で気づくことが多く、そのまま放置しがちです。
しばらく様子を見ても消失しない場合には、症状がなくても早めに歯科医で受診をするようにしましょう。
Author: 小野澤 彰(歯科医師/歯科オノザワ院長)
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