徹底解説!子供から大人まで使える最先端虫歯予防の全手法

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自分自身や家族の虫歯予防に、日頃の歯磨きだけで十分なのか気になっている方も多いのではないでしょうか。

実は、虫歯になる原因は解明されていることをご存知ですか?歯科関係者が虫歯にならないのは毎日欠かさず歯磨きをしているからではなく、そのメカニズムを知っているからです。

今は虫歯をつくらない予防方法も一人一人にあった提案ができるようになっています。

今回は、簡単にわかる虫歯のメカニズムと虫歯予防法についてまとめてみますのでぜひ参考にしてください。

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もくじ

1.虫歯とは

2.虫歯にならないためのバランス

3.自宅で出来る効果的な虫歯予防

4.歯科医院で行う虫歯予防

5.おすすめのオーラルケア商品

6.注意したいこと

まとめ

1.虫歯とは

虫歯とは虫歯菌により歯の表面が溶かされた状態をいいます。

虫歯菌は食べ物の炭水化物などの糖分を使って、歯を溶かす「酸」を作りだします。その酸によって歯は溶かされ、虫歯になるのです。

虫歯菌顕微鏡写真
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しかし、お口の中にある唾液の働きによって、溶かされた歯を元に戻すことができます。(再石灰化作用)

「歯が溶ける、歯を元の状態に戻す」このバランスを崩さないようにすれば、虫歯の予防は簡単にできるのです。

2.虫歯にならないためのバランス

虫歯ができるのは「歯の抵抗力」・「虫歯菌の数」・「食習慣」の3つの要素の悪条件が揃った時です。

例えば
・食事のあと長い間歯磨きをしない(虫歯菌の数)
・だらだらと回数を分けて食事をする(食習慣)
・糖分の摂取量や炭水化物の過剰摂取(食習慣)
・歯の根っこの部分が見えてきている(歯の抵抗力)

など3つの悪条件がタイミングよく重なり合った時に虫歯となるのです。

つまり、どこか一つでも重なり合わない揃わない状態を作れば、虫歯にはならないことがわかっています。そして、3つの要素に影響を及ぼすのが、「時間」と「唾液」です。

1-1 虫歯になる、ならないのバランス

3.自宅で出来る効果的な虫歯予防

3つの要素をもとにして、虫歯予防法について解説します。自分のできるところから実践してみましょう。

3-1.「歯の抵抗力」を高める

歯の抵抗力を高めるには、周りの力をかりることが一番です。歯の表面は、虫歯菌がだす「酸」から歯を守っています。エナメル質という歯の表面は酸への抵抗力は高いのですが、象牙質という歯の根のあたりは酸への抵抗力が弱く、歯の表面よりも根っ子の部分が虫歯になりやすいと言われています。

抵抗力を高めるにできることについてまとめていきます。

3-1-1.フッ素塗布で歯を強くする

①フッ素配合歯磨き粉を使用する(フッ素濃度950ppm以下)

フッ素配合の歯磨き粉は、市販品にも多くあります。日常的に使用して虫歯の予防を習慣化しましょう。

2-1-1-1フッ素配合歯磨き粉

虫歯予防にオススメの歯磨き粉は【虫歯予防に効果的な歯磨き粉はどれ?選び方とオススメを紹介】をご覧ください。

②歯磨き後、フッ素ジェルを塗る(フッ素濃度970ppm以下)

自宅で使用できるフッ素ジェルは、正しい容量を守れば塗ったままでもうがいの必要はなく、お口の中にフッ素が残りやすく歯の抵抗力を高めてくれます。

2-1-1-2a歯磨き後、フッ素ジェルを塗る
販売:株式会社オーラルケア
商品:ホームジェル(フッ化第一スズ)
価格:810円

使用方法

I. 歯みがきのあとに約1分間、歯面全体に行き渡るように軽くみがきます。

使用量は1回0.5g(約1cm)程度。幼児(3~6歳)はその半分が目安です。

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II. 塗ったあとはうがいはせずに、軽く吐き出す程度です。

30分間はうがいや飲食をひかえることで効果が期待できます。

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③歯磨き後、フッ素スプレー液を使う(フッ素濃度100ppm)

フッ素スプレー液は、歯磨きあとのスプレーするだけで、簡単にフッ素を取り入れることができます。手軽にフッ素習慣を身につけ、歯の抵抗力を高めたい人にオススメです。

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販売:ゾンネボード製薬株式会社
商品:レノビーゴ
価格:1405円

使用方法

I. 歯磨きの後、適量を歯ブラシに噴霧して歯を磨きます。(1回の使用時、7~8吹前後)

II. その後、口すすぎしないで軽く吐き出す程度です。

3-1-2.唾液を有効活用して歯の抵抗力を高める

唾液も歯の抵抗力を高める因子の一つです。

唾液の性質を高めることで唾液中のたんぱく質が歯を保護する力が高まります。唾液には、歯の抵抗力を高める他にもたくさんの作用があります。

保護作用:唾液中のタンパクにより膜(ペリクル)を作って歯を守ります。
自浄作用:食べものや、むし歯菌などを洗い流します。
緩衝作用:酸性に傾いたお口の中を中性に戻します。再石灰化をうながす。
抗菌作用:菌の活性を弱めます。
再石灰化作用:酸により失われた歯の成分のカルシウムやリンを補い再石灰化をします。
免疫作用:唾液中の免疫グロブリンが虫歯菌に対して免疫作用をもたらします。

①唾液分泌を高めるマッサージ

唾液の成分を効果的に発揮するには、唾液がたくさん出る環境を作ることです。

自宅で簡単にできるのは、唾液腺のマッサージです。
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(花王株式会社、健口体操1・2・3)より引用

方法:大きな唾液腺のある場所をマッサージすると、唾液の分泌が促されます。3分間ほど、痛くない程度の力で押してみましょう。

②唾液の分泌を高める習慣

普段から、ガムやアメ、タブレットなどを食べる習慣のある人は、唾液分泌量は増えています。ただし、この時に糖分入りの食品を食べていると、唾液は増えても酸を作る糖質を摂取しているので虫歯になる危険性があります。糖質を使っていない食品を取り入れることで、唾液分泌効果が期待でき、酸を作らない環境にもなります。

ノンシュガー製品

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販売:ロッテ
商品:キシリトールタブレット(オレンジ・ミント・グレープ・いちご)
価格:270円
カロリー:キシリトールタブレット1粒=約1.5Kcal

ノンシュガーなので、いつでも気軽に取り入れることができますが、カロリーはありますので、食べ過ぎにはご注意ください。キシリトール1g あたり2.8Kcalです。砂糖は1gあたり4Kcalです。

3-2.「虫歯菌の数」を減らす

虫歯菌は、汚れがなくなれば一時的には減りますが、お口の中から菌が0になることはありません。虫歯菌の数が多ければ多いほど「酸」を出す量が増え虫歯になりやすくなるため、できるだけ菌が増えない環境をつくることで虫歯の予防をすることができるのです。

毎日頑張って歯磨きをしていても、虫歯ができてしまう。。。そんな人はお口の中の虫歯菌が多いのかもしれません。

3-2-1.虫歯菌を増やさない本気の歯磨き

虫歯菌は、細菌同士が繋がりどんどん増えていきます。菌を増やさないためにできることは汚れを落とす「歯磨き」です。歯の表面につく汚れ(プラーク)の中に虫歯菌が住み着くため、プラークを歯ブラシで取り除くことが、虫歯菌を増やさない方法の一つです。

歯磨きは、1日3回が理想と言われていますが、1日3回はなかなか難しい人は、本気の歯磨きを1日のうち1回行ってください。理想的なのは、夜寝る前の本気の歯磨きです。夜寝る前が難しければ朝の本気の歯磨きを行い、お口の中の汚れをリセットすることで虫歯菌も一緒に減らしましょう。

お口の中の汚れプラークは作られるまでに24時間はかかることが実験でわかっています(諸説あります)。そのため、どうしても磨けない時は1日1回は本気の歯磨きで汚れを落とす習慣をつけてみてください。もちろん1日3回が一番理想ですが、3回を数秒で磨いて汚れが残っていては意味がありません。

しっかり汚れを落とせている磨き方が大切なのです。

①電動歯ブラシで効率よく磨く

歯磨きの時間がなかなか取れない。そんな方は電動歯ブラシを使うことも良いでしょう。もちろん、磨き方のテクニックは必要ですが、約2分ほどで汚れがきれいに落とせるといわれています。

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販売:フィリップス
商品:ソニッケアー ダイヤモンドクリーン
価格:19,000円

②フロスや歯間ブラシで歯の間の細菌を取り除く

歯と歯の間のプラークには、頑固な細菌が残っています。ハブラシでは届かない歯と歯の間の細菌を取り除くためにフロスを使いましょう。

歯の汚れは、歯ブラシだけでは60%程度までしか落とせないのですがフロスと併用することで約80%まで、歯間ブラシの併用では約85%まで汚れを落とすことができるようになります。

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歯間部のプラーク除去効果(日歯保存誌、48、272(2005年))より引用

お口の状況によって、フロスと歯間ブラシのどちらを使うことが効果的なのかは個人差があります。効果的に細菌コントロールをしたい方は、歯科医院へ相談しましょう。

デンタルフロスと歯間ブラシそれぞれの使い方やおすすめ商品について詳しくは、【5-3.デンタルフロス 】【5-4.歯間ブラシ】をご覧ください。

3-2-2.虫歯菌が多い少ないはどうやってわかるのか

歯科医院では、虫歯菌の検査を実施しています。また、顕微鏡で虫歯菌が活発かどうか見ることもできます。

虫歯菌の検査については、【 4.歯科医院で行う虫歯予防 】にまとめています。

生まれたばかりの赤ちゃんには、虫歯菌は保育者から感染します。赤ちゃんに虫歯菌をうつさないためにも、ご家族の方も虫歯菌の検査を受ける事もひとつの対策です。

赤ちゃんの虫歯予防について詳しくは【いつから?どのように?赤ちゃんの歯磨きを成長順に徹底解説】をご覧ください。

3-2-3.キシリトールで虫歯菌をコントロール

キシリトールには、唾液分泌を促す以外にも、虫歯菌の働きを弱める効果が研究データで明らかになっています。虫歯菌が多いと診断されたら、キシリトールを効果的に取り入れ、虫歯菌の働きを弱めましょう。

キシリトールの効果としては、虫歯菌が虫歯をつくるきっかけとなる「酸」を作らせないことです。また、虫歯菌は、キシリトールを菌体内に取り入れ続けることによって、「酸」を作り出すことができない菌へ変化します。いわゆる、酸をつくる悪玉菌から、酸を作らない善玉菌へと菌質が変化するというものです。

研究データで明らかになっている効果的な摂取方法は

I. 1回1粒、1日3~5回を目安に摂取する。
II. 5~15分程度かみ続けると効果的です。
III. 1度にたくさん摂るよりも、1日数回に分けて毎日継続的に摂取するのがポイントです。
IV. 3ヶ月続けると効果がでると言われています。

砂糖が含まれない甘味料にキシリトールを100%使用してる製品

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【歯科専用】
販売:株式会社オーラルケア
商品:オーラルケア キシリトールガム
(アップルミント・マスカット・クリアミント)
価格:980円

3-3.「食習慣」を改善する

虫歯になる、ならないの3つの要素の中に「食生活」があります。虫歯になりにくい食生活を知ることで、普段から意識的に予防習慣を身につけましょう。

3-3-1.砂糖の摂取量・炭水化物の摂取量

砂糖を全く取らないということは難しいかもしれません。チョコレートやグミや飴、砂糖入りのコーヒーや紅茶を頻繁に摂っている人はできるだけ回数を減らすか、食事と一緒に摂るように心がけましょう。

また、甘くなくても、炭水化物は糖質として虫歯菌が「酸」をつくるきっかけになります。代表的な炭水化物をあげると、白米、うどん、パンなどです。おやつの代わりに「おむすびやパンなら大丈夫」と思っていても、これらも立派な糖質ですので、「酸」をつくることには変わりありません。

3-3-2.虫歯菌が「酸」を作らない代替甘味料

甘いものがどうしてもやめられないあなたには、虫歯菌が「酸を作らない」代替甘味料を活用してみてください。

代表的な甘味料は以下の通りです。
・キシリトール
・マルチトール
・ソルビトール

食品の成分表を見ると、表記されています。

但し、その食品に「砂糖」「ショ糖」などが含まれている場合は、砂糖を摂取していることになりますので、注意が必要です。

※あくまでもキシリトールは補助的なものです。食生活を改善しないままで、キシリトールだけを摂取していても虫歯予防にはなりません。まずは、食生活や生活習慣の改善をはかりましょう。

3-3-3.食生活と「時間」の関係

食べる量よりも食べる回数を意識することで虫歯の予防効果が高まります。食事をするたびにお口の中で虫歯菌は酸を作り、口の中は酸性の環境になります。酸性の状態が続くことで「虫歯」になるのです。

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図にあるように、飲食の回数が多いほど口の中が酸性になっている時間が長くなります。それは、虫歯になる機会が多いということです。そのため重要なことは、食べる量よりも食べる回数を意識することなのです。

・食べる回数を1日3回(プラスおやつ1回)と決める
・だらだら食べる時は時間を決めて食べる
・会議や打ち合わせでのドリンクは、無糖のものを選ぶ
・子供におやつを与える時も、だらだら食べる環境を作らない

こうすることで、規則正しい食生活になり、虫歯を作りにくいお口の環境を整えることができます。

3-3-4.バランスの良い食生活

忙しくされている人は、短時間で食べられる食品を選びがちです。例えば、麺類やファーストフードなど…これらは高糖質で高カロリー、多くの場合が炭水化物でもあります。バランスのよい食生活を考えることで糖質過多、炭水化物過多を防ぎ、虫歯予防につながります。忙しいからこそ食事はゆっくりとバランスよく摂りたいものですね。

また、お子様の食生活にも同様に甘いお菓子や炭水化物には気を付けましょう。

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4.歯科医院で行う虫歯予防

4-1.虫歯菌の数や活動性を知る細菌検査

4-1-1.細菌検査(唾液検査)

専用のガムを噛んで、歯の面から唾液中に虫歯菌を剥がし落とし、その唾液の中にどのくらい虫歯菌がいるのかを調べる検査をします。この検査をすることで、ひとりひとりに合った虫歯予防の提案ができるようになります。

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