歯を失った時の選択肢!歯牙移植の治療法、費用、必須条件

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歯牙移植

虫歯や外傷などで歯を失ってしまった場合、インプラントや入れ歯ではな健康な自分の歯を利用したいという方は多いのではないでしょうか。

歯牙移植とは、歯の抜けたところに自分の健康な歯や埋伏歯などを、別の場所から移植する方法です。

移植する歯の状態や口内の健康状態など、いくつかの条件がありますが、それを満たせば大変効果の高い治療です。また条件によって保険診療で治療を行うこともできます。

今回は歯牙移植のメリット、治療を行える条件、費用などについて詳しく解説します。ぜひ、参考にしてみてください。

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1.歯牙移植とは

歯牙移植とは、『自分の歯を抜いて、別の部位に移植する』ことです。

人間には顎の退化の過程で前から数えて8番目の歯(親知らずと言った方がわかり易いですね)が、生えるスペースが無くなり、顎の中に埋まりっぱなしになっていたり、おかしな方向に生えていたりすることが良くあります。

虫歯などで歯を抜くことになった時に、この不要になっている親知らずを有効活用するのが移植と呼ばれている治療になります。

移植に関する歴史は長く、中世のころは他人の歯を移植することも行われていましたが、梅毒の蔓延で、行われなくなったそうです。一説にはナポレオンも部下の歯を移植したとか。
近代では、1948年のMillerの論文が有名で、若年者の未完成な親知らずを移植し、30年経過しても使えたというものもあります。その後、根管治療の発展に伴い、神経が断裂し再製しなくても問題なく歯として使えるようになり、現在、日本では保険で歯の移植を受けられるようにまでなりました。

1-1.どんな人に向いているのか

虫歯がひどくなりすぎたりして、抜歯が必要になったが、歯周病は無いという人に適応される治療法です。

移植には、歯を支える歯槽骨という骨が無いと成功しませんので、歯周病で歯を失った人はあまり向かない治療法です。

1-2.メリット・デメリット

【メリット】

・普通の歯のように噛むことができ、違和感がない

・インプラントに比べると安価

・ブリッジのように両隣りの歯を削らなくていい

・邪魔な親知らずを一緒に処理できる。

・アレルギーなどのリスクがない

【デメリット】

・外科手術が必要

・治療できる条件が限られる

・高齢者では、治療の成功率が低下する可能性がある

・骨とつかない事がある

1-3.費用と治療期間

費用については、保険診療か自費診療かによっても大きな差があり、自由診療の場合はクリニックによっても価格設定が異なります。

1-3-1.治療期間

移殖後、根管治療が3週間後くらいから始められる。
その状態によりますが、移殖後3~6か月程度で根管治療を終え、被せものをすることが多いです。

1-3-1.自由診療の場合の費用(目安)

手術に約5~10万円程度かかり、それに加えて被せ物の費用が掛かります。

※クリニックにより価格は異なります。

1-3-2.保険診療の場合の費用(目安)

移植時に5~8000円かかり、それに加えて被せ物の費用が掛かります。

※保険が適用となるにはいくつかの条件があります。

1-4.移植手術はどこでも行えるのか

移植は行っていないクリニックが多いので事前に確認しておきましょう。

また、移植した後に根管治療が必須になる事が多いため、根管治療に深い知識のある歯科医師が行うことが好ましいでしょう。

2.歯牙移植が行える条件

以下は必須条件です。

2-1.移植する健全な歯がある

親知らず、もしくは使っていない歯が口腔内にあることが前提になります。

2-2.歯周病が進んでいない

歯周病により、骨がなくなっている場合は適応になりません。

2-3.ビスフォスフォネート系製剤(BP製剤)を飲んでいない

骨粗しょう症やがんの骨転移などでBP製剤を使用している方は、顎骨壊死を起こす可能性があるため、注意が必要です。必ず受診時に相談しましょう。

2-4.血圧が高くない

抜歯の際に麻酔を使うため、血圧が高い方は必ず受診時に相談しましょう。

3.歯牙移植の治療の流れ

step1、CTでドナーとなる歯の歯根の形態を調べ、どの位骨を削る必要があるのか調べる。

step2、麻酔を行い、抜歯をした後、移植歯の歯根形態に合わせて骨を削る。

step3、親知らずをそっと抜く。

step4、抜歯した穴に親知らずを挿入し、軽く固定する

step5、3週間後、根管治療を行う。

step6、動揺や打診が問題なければ被せ物を被せる。

症例写真

1.

写真の左上奥から2番目の歯を抜歯し、左下横に埋まった親知らずを移植する。

2
①抜歯の診断が妥当と思われる左上の歯

3
②抜歯した後、抜いた穴を親知らずが入るように形成する

4
③移植後2~3週:根管治療を開始する。
樋状根(といじょうこん) という、歯根の断面が特殊な形をしていて治療の難しい歯であった。親知らずは樋状根が多い。

5
④術後1年:普通の歯として機能している。

4.歯牙移植が成功するカギとは

4-1.抜歯後はしばらく時間をあける

歯と抜いた穴の間に血液が溜まって生着するため、出血が少ないと生着しないことがあります。また、出血があっても血を貯めることが必要なので、理想的には抜歯して、しばらく時間をおいて、上皮がある程度再生してからのほうが確実と言えるでしょう。

4-2.CTでしっかり確認してもらう

移植する歯の形態をしっかり把握してから望むべきですので、CTはあった方がいいでしょう。

4-3.根管治療の得意な歯科医師の施術を受ける

移植後は基本的には根管治療が必須なので、根管治療が得意な先生にやってもらった方がいいと思います。

私は以前、10年以上前に移植して根尖に病気が出来た歯のやり直しをしたことがあります。せっかく、移植がうまくいっても、根管治療がうまくいかないと台無しになってしまうこともあるのです。

その時の症例を紹介します。6

右下の奥から2番目の歯。『10年前に別の歯医者で移植を行ったが、最近になって膿が出てくるようになった。』との事。

根管治療を行った後、膿は止まった。治療としては不格好ではあるが、不規則な根管も多いため、特に親知らずはこのような治療になる事も考えられる。

5.インプラントとの違い

・歯牙移植の場合、歯根膜が残るので噛んだ時のかたい・やわらかいなどの感覚が自然。

・歯牙移植の場合、歯と同じなので、矯正で動かすことができます。

・歯牙移植の場合、歯と同じなので、何かしらのトラブルがあった時に抜くことがインプラントに比べて容易に行える。(インプラントの除去は大変)

まとめ

症例さえしっかり見極められれば、移植はインプラント以上に患者さんに利益のある治療法であると思っています。

しかしながら、歯科の大学教育では、具体的な手技、診断はおろか、移植事態を教えていない学校が殆どなので、移植に深い知識のある歯科医師はごく少数であることは間違いありません。

今後の歯科教育の場で、移植が注目されていくことを切に願います。

Author: 北條 弘明 (歯科医師/ほうじょう歯科医院新日本橋 院長)

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